大判例

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仙台高等裁判所秋田支部 昭和27年(う)18号 判決

原判決は原審第二回公判調書中被告人の供述記載及び被告人の検察官に対する供述調書中の記載をあげこれをもつて、被告人の右杉葉に点火した行為自体が脅かして害悪の事後通告に過ぎずこれを手段として他の害悪を未然に通告する意思はなかつたと認めているけれども、右の供述記載はいづれも、被告人が右点火によつて養助を脅かすとともにこれを手段として暗にその住家などに放火するとの未然の通告をなす意思を有したものと解し得ないものではなく、むしろ右のように解釈することが吾人の経験則に照し合理的であるし、また原判決は被告人の右点火行為は養助の睡眠中に行われたもので同人が目を覚して点火を発見した時には被告人は既に姿をかくしていて朝まで現われなかつたこと及び右点火の地点の関係から住家に延焼する危険はなかつたことをあげて、右点火をもつて放火の通告とみるべき客観的状況はなかつたと断定しているが、住家に延焼する危険が絶対になかつたものではないことは既に説明したところでありさらに前に説示したとおり、被告人は養助を脅かすため養助方寝室附近で枯杉葉に点火燃焼させたのであるから、被告人は養助が右点火燃焼を覚知し被告人との前叙のような関係から右は被告人の行為であると察知することを期待していたことは勿論でありしかもこの期待は吾人の経験則からみて当然であるし、現に養助は即刻右点火燃焼を覚知し消火につとめ、その翌朝右は被告人の所為であろうと推測したものであることを右点火の時間及びその地点などと考え合せてみると右の点火をもつて放火の通告と見るべき客観的状況がなかつたものとなすことはできない。

すなわち、被告人には右の枯杉葉に点火燃焼させることによつて、養助に対し若し被告人の要求に応じないときはその住家などに放火すべき旨の未然の通告をなす意思があつたものであり且この意思を推測させるような客観的状況も存在したものとみるべきであるから被告人の本件所為は養助に対する脅迫罪を構成するものとなさざるを得ない。

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